武蔵野美術大学の厚生施設「奈良寮」に宿泊してきました

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皆さん〜ごきげんいかがでしょうか?

私は日本画・版画を描いていますが、祖父が棟梁をしていた事もあり建築が大好きです。
時間があると、建築物をみて歩いています。

そこで今回、実家徳島から東京まで車で帰る途中に
2024年9月27日28日、奈良にある武蔵野美術大学の厚生施設の「奈良寮」に、夫と立ち寄りました。

ここの施設は、学生、卒業生、家族、大学が認めた人という、誰でも泊まれる寮ではありません。
また、一般の宿泊施設、ホテル等と同様の対応ではありませんが、とても良い環境でした。
学習施設なので当然ですよね。

予約は武蔵野美術大学の厚生施設利用のホームページから2ヶ月前から予約が出来ます。
https://www.musabi.ac.jp/outline/facility/welfare/apply/

こちらで確認してください。

↑奈良寮の成り立ちが書かれています。

↑内玄関です。

↑内玄関を開けてみました。

こんな歴史的なたたずまいに泊まれて、1泊2200円?凄い!

東大寺の大仏殿にも正倉院にも歩いて行けて、世界で一番贅沢者!と思ったくらいの、
メインの奈良公園は10分歩けば行けるという好立地でした。
そして、一軒丸ごと貸し切り状態でした!
それもそのはず、
『貴重な文化遺産が多く残る京都・奈良への研究旅行の拠点として、奈良市内の、正倉院にほど近い絶好の場所にあります。この建物は、日本美術院に所属し、国宝や重要文化財の修復に大きな功績を残した故新納忠之介(にいろ・ちゅうのすけ)氏の旧宅で、この地方に独特な大和棟高塀造の民家です。
本学では、その本来の美しい姿をとどめながら、快適に宿泊・滞在できるよう、保存と活用を両立した改修復元を行っています。』
武蔵野美術大学厚生施設 HPより

歩いていると、鹿に遭遇します。
近くにコンビニは全くありません。おやつなどは前もって購入しておきましょう。

東大寺南大門にある運慶・快慶らによる「金剛力士立像」を見上げ、やはりどうやって作るんだろう?技の巧みさに感嘆します。69日間で造像されたと言われる巨大像ですが、立ち上がった時は感動の嵐だったと思います。

また、東大寺の大仏を参拝しながら、ふと、平安後期の信貴山縁起絵巻を思い出しました。
妙連の姉が大仏の前で寝て、夢でお告げを受け妙連と再会をする絵巻の話です。
私も、願いを込めて大仏の周囲を歩いてみました。叶うでしょうか・・

「金剛力士立像」を撮ったので、掲載しておきます。

↑阿形像

↑吽形像

古社寺保存の歴史をさかのぼる

『古社寺保存の歴史をさかのぼれは、明治元年神仏分離令だ出され(排仏棄釈)、神社と仏寺が分けられることになり、10年余にわたる大混乱を来たしました。仏像は雨ざらしとな理、仏像は美術品として海外に売り飛ばされたり、薪など生活用品にされたりして、東大寺を始め奈良の寺院も大きな危機に直面しました。江戸時代に東大寺勧進所となった龍松院もこのとき廃院となっています。

さらに文明開化を目指す急激な近代化の中で、伝統美術は古めかしいものとして排除されます。こうした風潮の中で、フェノロサの助手として奈良の寺院・仏像の荒廃ぶりを見た岡倉天心は、日本人の精神が失われると痛感し、文化財の保護を訴えました。明治30年(1897)には、文化財保護のための最初の法律として古社寺保存法が制定され、貴重な仏像の保存や修復を国が行うことになりました。

新納氏は天心の元、修復の仕事をしており、明治34年日本美術院に東大寺三月堂の修復を託されてから、奈良の生活が始まります。
新納氏は奈良美術院の所長を勤めた永い期間に、修復数が2600点を超える偉業を成されています。』

参考資料「奈良寮と新納忠之介の業績」武蔵野美術大学

日本美術院の故新納忠之介(にいろ・ちゅうのすけ)の家が、奈良寮なのです。

このような東大寺を修復をされ、日本美術の復興に尽力をしていた、
日本美術院の故新納忠之介(にいろ・ちゅうのすけ)の家が、この奈良寮なのです。

↑土間にあるフレスコ画

↑蔵にも宿泊出来ます。趣のある照明

↑綺麗に整えられた奈良ふき屋根と、手入れの行き届いた芝生

↑お風呂に行く途中の眺め

普通の古民家の一軒家みたいですが、まるで違います。
土間・中庭・縁側・奈良ふきのわら屋根・蔵があり、とても綺麗に保存されており、庭師の方も入られているそうで、中庭が大変美しいです。周囲に家がありますが、中庭はぽっかり、空に繋がっています。中庭を大きくプライベートスペースでとっていて、贅沢な空間です。
蔵にも泊まることが出来るそうです。空いていたら、どこの部屋に泊まりたいか希望を伝えてください。とのことです。

お風呂もトイレもとても綺麗です。
駐車スペースはないので、私は近隣の駐車場に車を停めました。

畳や日本間は古臭いと思ってしまう節がありますが、大きな間違いだと思いました。
今回は一泊でしたが、武蔵野美術大学のHPによると、3泊4日まで出来るみたいなので、
少しゆっくり滞在して、古美術のスケッチ旅行をしたいな〜。と思いました。

重要文化財が多数ある奈良は、京都のような華やかさはありませんが、自分を見つめ直す良いきっかけになると思います。

日本が世界を誇る歴史の都、奈良・京都を旅するとき、フェノロサ〜天心〜新納〜の事を忘れないようにしたいです。

ここの施設は、学生、卒業生、家族、大学が認めた人という、誰でも泊まれる寮ではありませんが
泊まれるチャンスのある人は、是非泊まってみてください。
皆さんに使って貰ってこその施設なのではないかと思います。

やはり写真や言葉だけでは全然イメージが伝わらないので、あなたも古都の奈良へ!
奈良寮へ是非行ってみてくださいね。